不眠症
よくある症状
- ●寝つきが悪くて辛い(入眠障害)
- ●夜中に何回も起きてしまい、再び眠ることが難しい(中途覚醒)
- ●朝早く(夜明け前など)に起きてしまい、その後は眠れない(早朝覚醒)
- ●睡眠時間はとれているのに、十分に眠れた気がしない(熟眠障害)
- ●不眠のため翌日の体調や気分が悪い
- ●不眠があることに困っている、悩んでいる
不眠症は日本人の約2割の人が抱えていると言われ、精神医療の領域でも治療が必要になることが多い疾患になります。
不眠症に対する治療は、内科など身体科でも対応されている状況ですが、場合によっては睡眠薬依存症や過鎮静、不眠症の背景にある精神疾患の見落とし等のリスクもありますので、出来る限り経験を積んだ精神科医のもとで治療をした方が望ましいです。(体が原因の不眠症もあり、その場合は各専門科へご紹介します。)
当院では必要最小限の薬物療法と、認知行動療法を主体とした精神療法を組み合わせて治療にあたりますので、ご安心ください。
うつ病・うつ状態
よくある症状
- ●気分が晴れない、憂うつな気分が続いている
- ●以前は楽しめたことが、今は楽しむことができない
- ●何事をするにも億劫で、すぐに疲れてしまう
- ●ソワソワと落ち着かなく、居ても立ってもいられないことがある
- ●寝つきが悪くなったり、夜明け前に起きてしまったりすることがある
- ●食欲がなく体重が減ってしまった
- ●頭痛や肩こり、吐き気、めまい、耳鳴り、下痢などの体調不良が続いていて、身体科では原因不明と言われている
うつ病は糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病と同じように、誰もがなりうる可能性を持っています。ただ体の病気とは違い、明確なデータとして表れてはこないので、その診断には専門的な判断が必要となります。
またうつ病の治療は休養が原則であり、当院では必要と判断した場合は即日での休職診断書の発行を行っております。
うつ病の症状は長引くほど固定化しやすいため、上記のような症状がございましたら、まずは当院へご相談頂けますと幸いです。
双極性障害(躁うつ病)
よくある症状
- ●気分の高まり(幸福感、イライラ感)が何日間も続くことがある
- ●調子の良い時期は眠らないでも活動できたり、色々なアイディアが頭に浮かんでくる
- ●逆に調子の悪い日が続き、何も出来ずに寝込み続ける時期もある
- ●人生の中で、調子の良い時期と悪い時期が繰り返されている
双極性障害はうつ病(単極性障害)とは違い、通常、躁状態とうつ状態を行ったり来たりします。また躁状態の程度によって、双極Ⅰ型と双極Ⅱ型に分けられます。Ⅰ型のほうが躁が重く、躁状態時には入院治療を要します。Ⅱ型は躁が比較的軽く(軽躁)、性格の範囲内と思われ、なかなか医療機関への受診につながらないケースもあります。
どちらのタイプにも、気分安定薬を軸とした薬物療法が有効です。なお気分安定薬を使用する場合、薬の血中濃度が有効に保たれているか、もしくは中毒域に達していないかを調べる必要があります。当院では治療ガイドラインに従い、定期的に血液検査を行いますので、ご安心ください。
パニック障害
よくある症状
- ●何の前触れもなく、突然息苦しさや動悸、発汗、めまい、吐き気等に襲われたことがある(パニック発作)
- ●発作時は死ぬかもしれないと思うほどの恐怖感がある
- ●発作がまたいつ起こるかと思うと不安で仕方ない(予期不安)
- ●発作が起きるのが怖く、外出が思うようにできなくなった(広場恐怖)
パニック障害は比較的、お薬が効きやすい疾患です。安定時には認知行動療法を取り入れることも可能ですが、まずは負の連鎖を断ち切るために(発作を繰り返すほど慢性化します)、薬物療法によってパニック発作の軽減を目指します。
発作によって引きこもりがちな生活になる方も多いため、早期に日常生活を取り戻せるようお手伝い出来たらと考えています。
強迫性障害
よくある症状
- ●赤切れが出来るまで手を洗い続けてしまう
- ●鍵の開閉や水道の蛇口、電気のスイッチ、ガス栓などの確認を1日に何十回もしてしまう
- ●運転中に誰か轢いてしまったのではないかと、繰り返し頭に浮かんでくる
- ●外出先で自宅が火事になっているのではと何回も不安になる
もともと日本人は強迫的な民族と言われ、「潔癖症」や「几帳面」といった強迫傾向のある性格を示す言葉も多くありますが、強迫性障害における「強迫」とは意味が異なります。端的に言えば、「無駄だと分かってはいるのに止められない」です。
そのためこの疾患の方々は、膨大な時間やエネルギーを上記のような強迫行為、強迫思考に費やしており、大変な苦痛を感じていることが多いです。
治療には抗うつ薬を軸とした薬物療法と、暴露反応妨害療法やコーピング法といった精神療法がありますが、約半数の方は薬物療法だけでは症状改善が難しく、早期に精神療法を組み合わせる必要があります。そのためにはまず、患者様ご自身がこの疾患についてよく知って頂く必要があり、当院にてそのお手伝いをさせて頂ければ幸いです。
社交不安障害
よくある症状
- ●周りの人から注目されるのが極端に苦手で、何も出来なくなる
- ●人前で何かをすると、恥をかくのではないかと不安になる
- ●不安になった際には、動悸や発汗、吐き気、体の震えなどが生じて辛い
- ●他人と関わるのが怖くて、学校や会社に行くのが辛い(もしくは行けない)
社交不安の強い方は、自己評価が不当に低く、そのために羞恥心や劣等感を抱きやすい状態にあると言われています。周囲からは「あがり症」や「人見知り」なだけだと言われることも多い疾患ですが、ご本人の苦痛はとても強いものです。
治療としては、まずは社交不安に伴う悩みや困り事をお聞きし、主に認知行動療法にて症状軽減を目指していきます。また不安や身体症状が強い場合には、薬物療法を考慮します。性格の問題だと諦めてしまう方も多いですが、おひとりで悩まずにどうぞ当院へご相談ください。
統合失調症
よくある症状
- ●周りに誰もいないはずなのに、音や声(嫌な内容が多い)が聴こえてくる
- ●他人から嫌がらせを受けている感じがある
- ●自分の考えが周りに筒抜けになっている気がする、もしくは他人の考えが頭に入ってくる感じがある
- ●誰かに体を乗っ取られたり、操られる感じがする
- ●ある時期を境に引きこもりがちな生活になった
統合失調症の診断には慎重さが求められ、経過も長くなる傾向があることから、精神科専門医のもとでの診断、治療が望ましいです。治療に関しましては 、現在さまざまな新薬が処方可能となっておりますので、ご本人と相談させて頂きながら症状にあったお薬を処方致します。また自立支援医療、手帳、年金といった社会資源を利用しつつ、患者様の社会復帰や生活の維持向上のお手伝いをさせて頂きたいと思います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
よくある症状
- ●周りから「空気が読めない」と言われ孤立してしまうことがある
- ●他人と会話していて、悪気もないのに相手を怒らせてしまうことがある
- ●誰にも負けないくらい熱中できる趣味を持っている
- ●昔から集団になじむのが苦手だった
ASDの方たちは一言で言うと「職人気質」なタイプで、真面目でコツコツと仕事をされる方が多いのですが、コミュニケーションが苦手だったり、一人でいることを好んだりすることで周りからの誤解を受けやすかったりします。特に現代社会は「社会性の時代」とも言われており、昔に比べてこういった「職人気質」な方々が暮らしにくい世の中になりました。(多少無愛想でも腕が良ければ認められた時代が過ぎ去ろうとしている)
最近ではASDに合併するうつ病や不安障害も多く、その診断、治療に関しては専門医のもと行われることが望ましいです。(根本原因が分からずに薬だけが増えていくことも多々あります)
当院では発達特性などが検査できる「WAIS-Ⅳ」を取り入れておりますので、ASDを疑った際は是非ご相談ください。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
よくある症状
- ●プライベートや学校、職場での大事な約束事を、何回もついうっかり忘れてしまう
- ●今やるべきことをほったらかして、違うことに集中してしまうことがある
- ●静かに待機していなければならない場面で、じっとしていられないことがある
- ●相手に言ってはいけないことをつい口走ってしまい、「しまった!」と思うことがある
誰しも「ついうっかり」や「しまった!」という経験はあるかと思いますが、ADHDの方の場合、その程度が日常生活において問題となっていることが多いです。ADHDを特徴づける要素としては「多動性」、「衝動性」、「不注意」があり、それぞれが組み合わさることでご本人の「症状」となります。
特に多動性や衝動性が強い場合は子供のころに診断されることが多いのですが、不注意のみが目立つ場合、大人になるまでADHDと分からず社会人となってから判明することも良くあります。
当院では心理検査「WAIS-Ⅳ」にてADHDに特徴的な発達特性があるかどうか調べることが出来ます。
軽度認知障害
よくある症状
- ●物忘れを自覚していて、認知症ではないかと心配になってきた
- ●同じ話を何度もしていると周りから指摘されることがある
- ●「あれ」「それ」「あの人」といった調子で、物や人の名前がすぐに出てこなくなった
- ●通いなれたはずの場所で迷ってしまい、困惑することがある
- ●外出することがめっきり減った
- ●料理をするのが億劫になったり、献立てが思い浮かばなくなった
軽度認知障害とは物忘れをはじめとした認知機能低下がみられるものの認知症には至っていない状態、いわゆる認知症の「予備軍」です。
厚生労働省の発表では、2012年時点でこの軽度認知障害と推定された患者数は約400万人とされ、認知症と推定された約462万人の方々と合わせると、実に65歳以上の4人に1人が「認知症あるいはその予備群」ということになります。また2015年の厚生労働省の発表では、団塊世代が75歳以上となる2025年には更に人数が増え、認知症患者数は700万人になると予測されており、MCIも同数程度と見込まれています。
軽度認知障害から認知症に移行する確率は、5年以内に約50%と言われていましたが、国立長寿医療研究センターが行った研究によると、4年間で46%もの人が「正常」に回復した(認知症移行率は16%)と報告され、軽度認知障害の回復可能性が示唆されました。
診断に関しましては、当院では血液検査や認知機能検査が施行可能で、CTやMRIなどの精密検査も総合病院と連携し行うことが出来ますので、より正確な診断が可能です。
また治療においても、認知症への移行リスクとして挙げられている「不眠、うつ傾向、偏った食生活、運動不足、閉じこもりな生活」などに対し、総合的な認知症予防を行っておりますので、ご心配な際は是非ご相談ください。
認知症
よくある症状
- ●物忘れが明らかで日常生活にも影響が出ているのに、本人はそれを気にしていない、もしくは否定する
- ●慣れ親しんだ近所でも道に迷ってしまうことがある
- ●運転がおぼつかなかったり、違反や事故を繰り返している
- ●怒りっぽくなった、ふさぎ込むようになった等の性格変化が目立つようになった
- ●存在しないはずの人や物が見える(特に夕方から夜間)
- ●人に嫌がらせをされている、物を盗られてしまった等の被害的な訴えがある
これまで人類は感染症、ガン、生活習慣病と様々な病と闘ってきて、たくさんの治療法を編み出してきました。そして現在、超高齢化社会で我々が直面化している大きな病に「認知症」があります。
認知症は発症後、年単位でゆっくりと進行します。症状としては物忘れがよく知られていますが、その他にも不眠、抑うつ、情動不安定、幻覚や妄想といった精神症状が伴うこともよくあります。
また認知症に伴う症状は、ご本人だけでなく周りの介護者が困ってしまうことも多く、認知症治療においては介護者への配慮も大事であると考えております。
院長は前職の松崎病院(認知症疾患医療センター)で多くの認知症治療に携わってきましたので、どうぞお気軽にご相談頂ければと思います。